幻の品種『いずみ』について

~いずみとの出会いとこれまでの軌跡~

茶品種「いずみ」について

【1960年登録 農林24号 来歴 べにほまれ 実生】

 

「いずみ」は60年ほど前に、輸出用釜炒り茶の品種として育種されました。当時日本は生糸や茶などの農産物で外貨を得ていました。輸出先は北アフリカと言われています。

 

程無く、高度成長期に入り茶は内需向けの物となり、輸出に陰りが見え始め、「いずみ」はほとんど栽培されずに終わった幻の品種です。

 

昭和31年の「日本茶輸出組合」の「いずみ」の評価は「形状・色沢共に申し分なく、香気は強烈にして滋味にコクがありきわめて良好」とのお墨付きをいただいています。

 

育種地は当時の福岡県の国立茶業試験場八女分場ですが、今は閉場しています。

 

「いずみ」を栽培するきっかけ

1991年に静岡県牧之原市にある国立茶業試験場に研究生で在学中に、香りに特徴のある茶品種を探し求めていたところ、当時研究官の深津修一先生から「いずみ」は日本の品種の中で萎凋、発酵をさせた時の香りが強く個性が光る品種と教えていただきました。

 

吉田茶園では、翌1992年から「いずみ」の苗木栽培を始め、2000年より本格的に定植し2008年に「世界緑茶コンテスト」で萎凋煎茶(吉田正浩作)とウーロン茶(木村昇作)の2種セットで「最高金賞」を受賞しました。

 

2005年から2010年までは「いずみの煎茶や萎凋煎茶」を作っていました。甘い香りで特長もあるのですが渋みがありお客様にどのように「いずみ」の良さを伝えればいいか考えていました。

 

 「いずみ」を紅茶に

2012年に新しいことにチャレンジする意味と煎茶作りへのヒントになればと紅茶を作ってみることにしました。

 

「いずみ」の親品種は紅茶品種の「べにほまれ」なので、おいしい紅茶ができるかもしれない。そんな思いもありました。同じ「さしま茶」産地の生産者の中には紅茶を作る方も増えてきた時期でした。

 

2012年に初めて作った「いずみの紅茶」はまずまずのできでした。「いずみ」の持つ紅茶としてのポテンシャルを感じた時でした。

 

 「いずみ」の紅茶の転機

転機は2015年の静岡県下田市で開催された「第14回全国地紅茶サミット」でした。出店した際に隣のブースの熊本県の梶原敏弘さんの紅茶を飲む機会がありました。

 

梶原さんの紅茶は他の出店者とは明らかに形状の違う「葉っぱの形を保った造り」で、甘い香りに渋みが少なく、余韻が長く、それでいてスッキリとした味わい、この素晴らしさに感動したことを覚えています。

 

2016年、東京浅草で開催の(現)「ジャパン ティーフェティバル」に出店の際、主催者のお一人である川崎武志さんからご紹介いただいた徳田志保さんより製茶技術の見直しを進められました。

 

徳田さんは梶原さんに製茶技術を伝えた方と知り驚きました。中国の「鳳凰単叢」の産地で製茶を学んだ徳田さんからのアドバイスですべての製茶工程、栽培や摘み取り、仕上げ加工まで含め見直しは多岐に渡りました。

 

結果「いずみ」はこれまでの紅茶とは明らかに違う、「いずみの魅力を存分に発揮した香り高い紅茶」に生まれ変わりました。

「いずみの紅茶」コンテストで最高賞を受賞

2018年東京浅草で行われた「ジャパン ティーフェスティバル」の国産紅茶のコンテスト「プレミアムティコンテスト」においては、全国から48点出品された中で、最高賞の5つ星と4つ星、を受賞しました。

このコンテストの審査員は都内で高級紅茶を扱う店舗を構える店主の方々です。

 

また、「ジャパン ティーフェスティバル」で同時に開催された試飲茶の人気投票「ファインティコンテスト」においても最高賞の5つ星を受賞しました。これは当日海外産と国産の紅茶を中心とした58点の試飲茶の中で上位2点に与えられる賞です。当日のお客様が投票された約900票の結果です。

一般の紅茶好きの方からの支持もいただき「日本の香り高い高品質な紅茶・いずみ」の魅力が伝わったことを実感しました。

 

2019年には同じく出店数78点中「プレミアムティコンテスト」で4つ星、「ファインティコンテスト」では5つ星を受賞しました。

 

「日本茶AWARD」においても全出品数463点の中から上位20点に与えられるプラチナ賞に進出、全国・海外あわせて8ヶ所、1,000名以上の方が参加した三次審査において

2位となる「日本茶AWARD日本茶準大賞」をいただきました。

国産紅茶での「準大賞」は初となります。

 

紅茶の品質を向上させることができのは、徳田さんを中心に国内外の多くの生産者や紅茶販売に関わる方々と共に製茶の研修やアドバイスを頂けたことが大きいと感じています。

お世話になった皆さまに感謝しております。

 

結びに・これからの「いずみ」

今後、「和紅茶・いずみ」に期待される場面は増えることが予想できます。

 

日本人の作る、奥深い味わいの「JAPANESE IZUMI  BLACK TEA」はイベント出店時の感触として外国の方からも支持されると感じました。

実際に※海外の方からの評価も高く期待されています。(※アメリカ・イギリス・台湾・ロシア・インドネシア・ルーマニア・ドイツ・インド)

 

お茶の業界から忘れ去られた幻の品種「いずみ」は高品質な紅茶を作る素材として「ダイヤの原石」のような品種です。多くの方から本格的な復活を期待されていることをここ数年強く感じました。

 

既に他産地においても少量ではありますが、いずみの紅茶が生産され始めています。

 

幻の品種「いずみ」を通して、これからもカップ一杯の「癒し」をご提供できればと考えています。

 

茨城県 さしま茶 吉田茶園 代表 吉田正浩 201912